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執筆者の写真Gustavo Dore

どうすれば経営者とバックオフィスが分かりあえるのか

経営者とバックオフィスが、しっかりとコミュニケーションが取れている会社も多いのですが、問題を抱えている会社では「経営者の理解がない」「スタッフが変わりたがらない」というような話を耳にする機会が多いのも事実。

私はクラウドサービスの専門家ではありませんし、バックオフィスの専門家でもありません。税理士であり、外部から組織の課題を解決する支援者です。企業の成長を考えたときに、いくら経営者とだけ話していても組織の中から変わっていかなければ意味がない。

しかし、いろんなところから情報を集めている経営者に比べ、バックオフィスで働く人は残念ながら社外の情報に触れる機会はそれほど多くありません。そんな中で「社員に経営の視点がない」というのは不公平。

これからの時代を考えても、バックオフィスで働く人がもっと自分のキャリアを描きやすいような環境が整うべきだと思います。

展示会・勉強会以外に、総務・バックオフィスで働く人が他社のバックオフィスで働く人や、他社の経営者、サービス提供者、専門家等と「個人として」繋がって情報交換ができる場がないか。

そんな考えから、総務・バックオフィスで働く人のための交流会「SOU-MU NIGHT」を始めました。

イベントでもよく話題になっているのは、クラウドツールについてのことです。

組織の課題を解決するための一つのツールとして、やはりIT活用は欠かせません。私もクラウドサービスについて積極的に情報を集めにいっていますが、そうしたコミュニティに参加すると、クラウドサービスを駆使してバックオフィス業務を効率化しているバックオフィスの方に数多くお会いします。

最近の起業家の多くは、クラウド会計やクラウドサービスを活用して事業を開始しています。最新機能を備えたツールを、大きな初期費用なく使い始められるというのは、起業段階では大きなメリットですね。

その一方で、地方で目にする中小企業のバックオフィス業務の現場では、集計や転記を仕事の中心にしていることがまだまだ多い。クラウド導入を勧めても、固定費の増加を嫌がられ、昔から使い慣れているソフトを使い続けようとします。

請求書の様式が、うちの昔からの形式でつくれないから導入はちょっと。

そんなことを言われることもあります。

同じように会社が魅力的なサービスを提供していても、バックオフィス業務の生産性の差が、歴然とした差として現れつつあります。これから先の数年で、その差はもっと顕著になっていくでしょう。

分かっていても、どうして変えることができないのか。

昨年度、私がコーディネーターとして所属する京都市ソーシャルイノベーション研究所(SILK)で「働き方改革チャレンジプログラム」という一連のプログラムを実施しました。「ただ専門家を派遣するのではなく、SILKらしく今までになかったやり方でお願いしたい」というオーダーを京都市から受け、試行錯誤しながら作りあげたプログラムです。

中小企業にヒアリングにいく中で、経営者に話を聞くと、

社員にはもっとボトムアップで提案してもらいたい。自主性がない。

といい、社員に話を聞くと、

経営者は現場のことが全然分かっていない。

といいます。

これは、働き方改革でも、業務改善でも、どんなテーマでも根本的な問題は同じ。多くの問題の原因は、この経営者と社員とのすれ違いにあると感じています。

このような状態の中で、システムをクラウドに変えようが、人を増やそうが、組織はうまく機能しません。

どのようにして、その考え方のズレに気づいてもらうか。私達のような外部の専門家から問題点を指摘をしても、根本的に変わることはない。

そこで私達は、規模も業種も違う中小企業7社の経営者と従業員に同じテーブルについてもらい、「7社で一緒に」働き方改革を進めることにしました。

これからの時代の生き方や働き方はどうなっていくのか。

共通認識として、各界のトップランナーからインプットを受け目線を上げて、他社の経営者、従業員と会社の課題について話し合う。

その中で、まず同じような悩みをみんな抱えているということに気づき「共感」する。そして、他社ではどのような工夫をしているのかを知り「刺激」を受ける。

著名な人から新しい組織の話や働き方の話を聞いても、知識が増えたような気がするだけで、会社に帰って結局変わらない現実に直面する。

「理想は分かる。だけど、現実にうちにはこんな問題がある。」

率直に感じる違和感、理想と現実とのギャップを他社の人達と話し合うことが大事。それでも対話の中で、似たような規模の会社で実践している事例があることを知れば、自社でも何か小さく行動できるかもしれないと思う。

そうした共感や刺激を持ち帰り、個別には私達支援者が伴走しながら、次回までの1か月の間に小さなアクションを実行してもらう。そしてまた他社と共有する。そのサイクルを3回繰り返しました。

たった4か月のプログラムですが、プログラムの中で生まれた関係性は地域にとっての資産になっています。ただ専門家を会社に派遣して制度を整えたり研修をするよりも、明らかに異なる結果が生まれました。

実は、このプログラムでの気づきがSOU-MU NIGHTの基礎になっています。従来の枠を超えて、個人・企業・地域・行政が良い関係性を育めば、きっと自分たちの働く環境は良くなるということ。

問題を関係性の中でとらえるシステム思考の中で、私が好きな言葉があります。

「自分が問題の一部を構成していることに気づくこと」

それが「働き方改革チャレンジプログラム」を通じて提供できた一番の気づきだったと感じています。一番大事なことは自分自身で気づき、行動を変えていくこと。

これは決して「自分を責める」ということではありません。

「自分が問題の一部であるからこそ、その問題を解決することができる」

という言葉につながります。私たちのような外部のコンサルタントはそのきっかけをつくることしかできない。だからこそバックオフィスで働く人の力がなければ、組織を変えることはできません。

私達は「働き方改革チャレンジプログラム」で今までに類を見ないコンサルティング事例をつくったと思っています。

「閉ざされた関係性」での問題解決から「開かれた関係性」での問題解決へ。

プログラムの成果報告書に、働き方改革に役立つヒント集がたくさん掲載されているので、バックオフィスで働く方はぜひこちらをご覧ください。

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税理士・中小企業診断士 S0U-MU PROJECT代表 田中 慎 経営者の良きパートナーになりたいと、 税理士資格、 中小企業診断士資格を取得。2019年より 総務やバックオフィスで働 く人達のためのSOU-MUプロジェクトを開始。「SOU-MU NIGHT」など、 起業家とバックオフィスで働く人達が地域で繋がり、支え合う環境づくりを目指している。

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