クラウド会計freeeやクラウドサービスを活用したバックオフィス業務のお話をしていると「どうすればそういったことを学ぶことができるんですか?」という質問を受けます。
結構よく受ける質問でもあるので考えるのですが、答えとしては「やってみなはれ」としか言いようがないのです。それでも「やってみなはった」結果、挫折したり知識が浅いままの状況に悩んでいる人もいますよね。私が考える「やってみなはる」順番というものもあるので、今回はそんなお話ができればと思います。
学ぶときはまず本物から話を聞いてポイントをつかむ
セミナーや勉強会をしている私が言うと身も蓋もないのですが、2時間セミナーに参加して得られることは1つか2つあればいい方ではないかと思っています。人から話を聞くよさは、本や文章からは読み取れない行間や、表現しにくい関連性や全体像をつかむことができることです。
だから、私はまず独学で何でも学び始めるのではなく、全体としてこういうことだよね、という概論を楽しく教えてくれる人に教えてもらうことが早道だと思っています。
たとえば、私はエクセルVBAを本格的に学ぼうと思ったときに、OfficeTANAKAの田中亨さんのセミナーに参加しました。日本人初のMicrosoftMVPで、Excelに関する知識はもちろんのこと、教えることに関するプロフェッショナルでもあります。何を学ぶかよりも誰から学ぶかが重要。VBAだけではなくExcelがこれまで辿ってきた歴史やそもそもデータの正しい流れとはどういうことかを教えてもらったことが、今でも私の情報に対する基本的な考え方を構成しています。そうして幹となる全体の考え方を学んだあとは、自分で本を読んだりネットで調べたり、実際に作ってみながら知識を自分のものにしていきます。
体系化されていない知識を学ぶには一緒に体系化する過程に参加する
それでは、最新のクラウド情報を誰から学ぶべきか、というとなかなかそんなことを体系化して教えてくれる人はいないですよね。それは当然のことで、体系化して本を出すスピードよりもクラウドサービスのアップデートの方が早いので、本を出すころには情報が古くなってしまっているからです。
そんな状況の中、知識が体系化されるまで学ぶことを待つ人がいます。これは以外と多くの人が意識せずにしてしまっていることです。
「freeeに関する情報がネットにあがっていない」
この状況をどのようにとらえるかが、その人の成長を左右すると思っています。
「freeeに関する情報はほとんどないから怖いのでまだ使わない」
と考えるのか。
「freeeに関する情報がほとんどないからチャンス。自分も積極的に試して、その結果をTwitterで発信していこう」
と考えるのか。
後者のように考える人は、自分が発信することによってまた情報が集まってきて、気づけば圧倒的な情報量を得ている状況になっていますし、前者のように考える人は、既にキャッチアップすることが困難なほどに差がついてしまっている状況にまだ気がついていない状況です。
文句を言う前にとにかく試してみる。その前に「自分の関連する業務領域では、次はこれを学ぶべきだ」という感覚があるかどうかも大事ですね。そのような感覚は自社に閉じこもってばかりではなく、いろんなコミュニティに顔を出すことでそうした感覚を磨いていくことができます。
「伝統と革新」とは体系化された知識と新しいものの融合
反対のことを言っていると思うかもしれませんが、既に体系化されている知識を学ぶことも非常に大切なことです。そもそも体系化されている知識というのは何なのか?それは歴史です。
分かりやすいものが法律でしょうか。法律そのものが私たちが守るべきルールが明文化されたもので、現在形骸化しているものも確かにありますが、先人たちが更新を重ねてきた社会規範です。そのため、税務や労務の明文化された法律がどのように組み合わさって、現実のビジネスルールを構成しているのか。そういった基本的なことをきちんと知っているかどうかは、新たな経験をしたときにその経験をどのようにとらえるかにも影響してきます。
そうした体系化された知識を踏まえつつも、新たな領域にチャレンジしてみる。バックオフィス領域であれば間違いなくそれはクラウドやDXと言われている領域です。
現在はまだその分野ではある程度の失敗は許容されています。その間にぜひ積極的に参加し、チャレンジしてみましょう。
「伝統と革新」という言葉がありますが、これらは工藝等の分野だけの話ではありません。バックオフィス分野でも先人たちが歩んできた歴史を眺めてみることは大切です。どのような経緯で現在の業務が構築されているかが分かれば、大切にすべきもの、変えてはいけないものが分かります。
その変えてはいけないものは守りつつ、変えてよいものを積極的に変えていく。冒頭の「やってみなはれ」というような精神を持つバックオフィス担当者がこれからの中小企業の生産性を伸ばしていくと考えています。
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