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執筆者の写真Gustavo Dore

リモートワークで「生まれた問題」か「表面化した問題」か。

最近リモートワーク時のコミュニケーションについて色々と悩みを聞いたり、自分も課題を感じたりしています。

「選択肢としてのリモートワーク」から「選べない働き方としてのリモートワーク」とそこから生じる問題。

やるべきタスクが明確であればリモートであろうが場所は問題ありません。いつまでに、誰が、どのような完成度で仕上げるのか。たとえばクラウド上で進捗を共有できるタスク管理ソフトを使いながら、チャットでコミュニケーションを重ねます。少し相談があれば音声通話やビデオ通話をすぐ繋ぐこともできます。

先日私が一緒に働いているチームでも「集まって話がしたい」という話になりました。そんな実例を今回ご紹介したいと思います。

非常勤メンバーばかりのチーム×リモートワーク×新規事業で表面化した問題

私がいま非常勤で働いている京都市ソーシャルイノベーション研究所(SILK)は、持続可能な社会をつくるビジネスを支援している機関ですが、コーディネーター6人全員「週1日相当」のような働き方で、2週間に1度の会議はオンラインで行なっています。進捗報告のようなミーティングはオンラインで十分ですが、会議となると10人近くのメンバーであり、それぞれが担当しているプロジェクトも分かれていて、なかなか全体で議論をするような機会をゆっくりとつくることができません。

以前から会議の前半を進捗共有、会議の後半をちょっとした共有ができるワイガヤ会議としていました。しかしながら、ワイガヤ会議もオンラインだとなかなか運用に悩みがあります。少人数のメンバーに部屋を分けたり工夫もしていますが、会話を重ねることが難しいオンラインの環境だとどうしても遠慮が出てしまったり、ちょっとした話題の深掘りが難しくなります。

オンラインだと雑談がしにくい。これがSILKにとっては痛手でした。会議で共有するほどでもないことでも、個性あふれるメンバーたちがチームで動いている時間以外の週5日に見聞きしてきた情報が、SILKにとっての価値だったと再認識しました。そのことによって今まで大切にしていた「緊急ではなく重要な仕事」の比重が下がってしまっていたのです。

そうしたそれぞれが抱えていたちょっとしたモヤモヤが重なり、先日メンバーの提案から「集まってじっくりと話がしたい」という話になりました。半日かけてメンバーが抱えていたちょっとした違和感、これから自分たちが取り組んでいきたいことなどを共有し、大きな方向性を全員で共有することができ、あらためて場の力の重要性を認識することができました。

全員週1日稼働のコーディネーターばかりの中、こうした半日合宿的な時間をとることは難しいのですが、しばらくの間は毎月のようにコミュニケーションをとることにしました。

コミュニケーションの問題が生じたのはオンラインが原因なのか

この話をすると、「やっぱりオンラインはダメだよね」という方が一定数いらっしゃいます。しかし、私はそうは思っていません。

働く環境がオンライン中心になったからコミュニケーションの問題が生まれたのか。それとも元から抱えていたコミュニケーションの問題がオンライン中心になったことで表面化したのか。

私はおそらく後者なのだろうと思っています。

SILKは3月まで週3日勤務の核となるコーディネーターがいましたが、そのメンバーが抜け、新たなメンバーを2人迎えて、4月から全員ほぼ週1日勤務のコーディネーターになりました。しかも全員オンラインからのスタート。今までは週1メンバーでフォローしきれなかったタスクを週3日勤務のメンバーがフォローしてくれていましたが、そのメンバーがいなくなったことで落ちてしまうタスクが出てきました。私達は、チームの構造が変わったのに、従来のメンバーの役割やコミュニケーションの方法を変えずに走り続けたため問題が生じてきたのです。

それでも集まってコミュニケーションを頻繁にとっていれば問題が表面化しなかったのかもしれません。しかし、それは時間の問題だったと思っています。

そして、私が多くの企業から伝え聞いている「リモートワークの問題」も同じく「もともとあった問題がオンラインで表面化した」パターンです。

気をつけなければいけないのは、それを「オンラインの問題」としてだけ認識してしまうと「やっぱりリモートワークでは生産性が上がらない」という間違った結論に至ってしまうことです。

どうすればいいのか

SILKの場合、まずメンバーの一人が少人数で集まった際に違和感を口にしました。すると、他のメンバーも同じことを思っていた。そこでコーディネーターが全員集まってじっくりと話をすることになりました。私達は全員フラットな関係なので、誰に強制される訳でもありません。だからこそ、自分達が必要だと思えば、自分達で場を設計して自分達で解決する必要があります。その動きに関しては早かったことが良かったと思います。

オンライン化で少し難しくなったのは「あうんの呼吸」のような表情や雰囲気から意図を察知して動くこと。今までは週3日勤務だったコーディネーターが他のメンバーとの関係を繋いでくれていましたが、そうした存在がいなくなり全員が同じ条件になったとき、自分達がチーム内のコミュニケーションについて1歩ずつ踏み込む必要がありました。

自分たちの専門性をただ発揮すればよいのではなく、チーム全体が生み出す価値を大きくするために、それぞれが一歩ずつチームについて踏む混んでコミュニケーションをする。全員がその認識をあらためる必要がありました。

オンラインでそのまま進められる部分はオンラインに。むしろオンライン化を加速して効率化する。だけど、それだけではうまくいかないところは十分に時間をとってオフラインで行う。

チームによってそれぞれのコミュニケーションの仕方があります。しかし「オンライン化」の流れに逆らうことはできません。オンラインをベースにしながらも、自分達が大事にしていることは何か。組織の風土に合わせたコミュニケーション設計は試行錯誤の中からしか生まれません。私達も実践する中から見えてくることをこうして伝えていければと考えています。

税理士・中小企業診断士 S0U-MU PROJECT代表 田中 慎

経営者の良きパートナーになりたいと、税理士資格、 中小企業診断士資格を取得。2019年より 総務やバックオフィスで働 く人達のためのSOU-MUプロジェクトを開始。 「SOU-MU NIGHT」など、 起業家とバックオフィスで働く人達が地域で繋がり、支え合う環境づくりを目指している。

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